ヒトの生体リズムは眠りとともに成長、発達し、老いていきます.
成長と共に変化する眠りについて紹介します.

1.乳児の眠り
 赤ん坊は母の胎内で妊娠28週からレム睡眠※を覚え、36週でノンレム睡眠※※も覚えます.生まれたばかりの赤ん坊は1日をほとんど眠って過ごす.起きているのは1日3時間で、あとは眠りほとんどがレム睡眠である.
 生後1ヶ月で24時間リズムが芽生えるがまだ安定しない.夜と昼が逆転することも多い.
 生後3ヶ月になるとようやく24時間リズムができるがちょっとしたことで乱れる.この頃は睡眠時間は15時間で半分がレム睡眠である.生後8ヶ月になると睡眠は13時間となり、三分の一がレム睡眠になる.                                                                                                                  

2.幼児の眠り
 乳児期に生体リズムが確立される                                                                                       .
 5才になるとほぼ24時間のリズムが現れ、決まった時刻に起床し、活動するようになる.午後の昼寝も夜の睡眠を補うのに有効である.夜は午後8時には就寝して10時間の睡眠を確保することが重要である.
 この頃の睡眠の特徴は昼の疲れから眠りが深く、目覚めるのが難しい.親が起こしてもなかなか目覚めない.膀胱が満杯になっても覚醒しないので夜尿となる.この時期は心理的にも刺激が多く、眠っていて夢中歩行したり、寝言を言ったり、悪夢を見て泣き出すことがある.このような現象は成長と共に減少していく.                                           
                                                                                                                  

3.学童期の眠り
   12才頃には睡眠時間は8時間に減少し、昼寝はなくなる.ぐっすりと深く眠ることで大脳が成熟し、ノンレム睡眠が主体となる.深い眠りのなかで知識や情報が咀嚼、確定されて記憶として保存される.

4.思春期の眠り
  成長ホルモンが多量に分泌され、眠りの欲求が高まり、いくら眠っても眠くてたまらない時期である.
  受験に追われても1日7時間の睡眠が記憶の保持のために不可欠である.性腺の成熟と共に性的な幻想の夢が現れてくる.

5.社会人の眠り
  仕事やつきあいから生活リズムが乱れ、就寝時刻が不規則になる.睡眠環境を整え、起床時刻を一定にすることが重要である.休日も普段と同じ時間に起きて日光をあびることで睡眠リズムが維持される.

6.中高年の眠り
 老化が始まる時期で不眠が増え、壮年期で5人に1人、60才過ぎで3人に1人が不眠になる.
 中高年になると夜の就寝時間も早くなり眠りが浅く、朝早く目覚める.また認知症になるとメラトニン※※※が低下してリズムが乱れ、睡眠が不規則になり、脳の働きが乱れる.そのため夕方になると不穏になり大声を上げたり、泣いたり叫んだり、暴れる.徘徊が始まり、暴言、攻撃的になる. 
                                                                                                            

7.まとめ
年齢と共に眠りのリズムは変化していく.年代に適った眠りを理解し、睡眠習慣を考えることは健康の維持の秘訣である.

※レム睡眠:REM(Rapid Eye Movement)睡眠と書き急速眼球運動から名づけられたものです。寝ているのに眼球だけがキョロキョロ動き、脳波は起きている時と同じです.夢を見ていることが多い.体はほとんど動かず休息している状態で眠りとしては原始的な型です.
※※ノンレム睡眠:レム睡眠ではない意味でノンレム(Non REM)睡眠といいます.筋肉の活動は休止せず動いているが、脳は休息状態にある.大脳の活動が休息状態に入るため、こちらは脳の眠りで高度な眠りと言えます.
※※※メラトニン:メラトニンは脳中枢から分泌されるホルモンで、重要な役割は睡眠周期の調節です.その他に代謝、性行動、食欲等多くの機構に関与し、特に免疫賦活作用や抗酸化作用による"老化防止(AntiAging)"が有名です


│ メラトニンを定期的に補充することは睡眠リズムを整え、老化防止に 効果があります.ご希望の方には診察の上メラトニン製剤を処方します.│